まず「取引に付随するか」を見る
景品表示法は、商品やサービスの取引に付けて渡す景品の額に上限を設けています。上限がかかるかどうかを分ける最初の問いは、その景品が「取引に付随」して渡されるかです。商品を買った人だけが応募できる、来店した人だけがもらえる、といった企画は取引に付随するので、上限がかかります。
逆に、買い物も来店も要らず、誰でも応募できる企画は、取引に付随しない懸賞(いわゆるオープン懸賞)として扱われます。消費者庁の 景品規制の概要 によると、オープン懸賞には以前 1,000 万円の上限がありましたが、平成 18 年 4 月に撤廃され、いまは景品の額に具体的な上限の定めはありません。
SNS の「フォローとリポストで応募」の企画が、どちらに当たるかが一番の分かれ目です。
消費者庁の Q&A にある SNS の例
消費者庁は 景品に関する Q&A の中で、SNS の懸賞の例を 3 つ挙げています。考え方の基本は、応募しようとする人が商品を買うことにつながる見込みが高いかどうかです。
| 企画の内容 | 消費者庁の答えの要点 | 当てはまる規制 |
|---|---|---|
| 公式アカウントをフォローし、「いいね」を押すと応募できる。景品は郵送 | フォローやいいねは、通常、商品の購入に直ちにつながらない。来店も要らない | ほかに取引につながる事情がなければ、景品規制の対象にならない |
| フォローし、指定のハッシュタグを付けて投稿すると応募できる。商品の画像や使用感を一緒に投稿すると当選確率が 2 倍 | 当選確率を上げるために商品を買う見込みが高い | 取引に付随するので一般懸賞の規制がかかる |
| 友だち登録すると応募できる。当選者は景品を受け取るために店舗に来店する | 来店が必要なので取引に付随する。来店すればもれなくもらえる | 総付景品の規制がかかる |
この表から分かるのは、「SNS だから自由」でも「プレゼント企画は全部だめ」でもないということです。同じフォロー企画でも、商品の購入で有利になる条件や、受け取りに来店が要る条件を付けた時点で、上限のかかる企画に変わります。
見落としやすい「取引に付随」する条件
Q&A には、ほかにも気をつけたい例があります。応募は誰でもできても、商品のパッケージに応募のしかたが印刷されている場合は、その商品を買う人を主な対象にしていると見られ、取引に付随するとされています。当選者に自社の店舗で使う値引券を送る企画は、来店が必要なので取引に付随しますが、正常な商慣習の範囲の値引と認められれば景品にはあたらない、とされています。
「応募の入口は SNS だが、どこかで買い物や来店が絡む」企画は、迷ったら取引に付随すると考えて、上限の範囲に収めるのが安全です。
上限額の早見表
取引に付随する景品には、渡し方によって 3 つの上限があります。消費者庁の景品規制の概要と Q&A をもとに、2026 年 10 月時点の上限を表にしました。
| 種類 | どんな渡し方か | 取引の価額 | 1 人に渡せる最高額 | 景品の総額 |
|---|---|---|---|---|
| 一般懸賞 | 抽選や順位で、一部の人に渡す | 5,000 円未満 | 取引の価額の 20 倍 | 懸賞に係る売上予定総額の 2% |
| 一般懸賞 | 同上 | 5,000 円以上 | 10 万円 | 懸賞に係る売上予定総額の 2% |
| 共同懸賞 | 商店街など複数の事業者が共同で行う | 問わない | 30 万円 | 懸賞に係る売上予定総額の 3% |
| 総付景品 | 条件を満たした人にもれなく渡す | 1,000 円未満 | 200 円 | 定めなし |
| 総付景品 | 同上 | 1,000 円以上 | 取引の価額の 10 分の 2 | 定めなし |
「取引の価額」は、その企画で対象にしている買い物の金額です。購入を条件にしない来店型の企画では、店で普段売っている商品のうち最も安いもの(原則 100 円)が取引の価額になる、と Q&A は説明しています。たとえば 1,000 円の商品の購入者の中から抽選する一般懸賞なら、1 人に渡せる景品は 2 万円まで、景品の総額はその企画の期間に見込む売上の 2% までです。
𝕏 のキャンペーンの決まり
𝕏 は キャンペーンの実施についてのガイドライン で、主催者が守ることを挙げています。どれも、参加者が 𝕏 のルールに違反しないようにするためのものです。
| 𝕏 が求めること | 企画に落とすと |
|---|---|
| 複数アカウントを作らせない | 複数のアカウントで応募した人は当選資格を失うと、応募要項に必ず書く |
| 同じ投稿を繰り返させない | 「一番多くリポストした人に賞品」のような条件を作らない。1 日に何度も応募したら無効、と書くとよい |
| 主催者の @ユーザー名を含めて投稿してもらう | 応募を全部確かめられるよう、返信か @ 付きの投稿で応募してもらう |
| 関係のあるハッシュタグだけを使ってもらう | 投稿の中身と関係ないハッシュタグを付けさせない |
| 𝕏 のルールと法令を守る | 適用される法令への準拠は主催者の責任 |
𝕏 は自動化のルールでも、自動でいいねすることを禁じ、自動の返信は相手が求めた場合に限っています。当選の連絡を自動で送るときも、応募した人への返信か、応募者が受け取る意思を示した DM に限るのが安全です。
Facebook・Instagram のキャンペーンの決まり
Meta の ページ、グループ、イベントに関するポリシー は、プロモーション(コンテストや景品、くじ)を行うとき、参加者に Meta を法的責任から完全に免責し、Meta が後援・支持・運営するものではないと分かるようにすることを求めています。また、参加者にシェア・再投稿・タグ付けなどでプロモーションを宣伝するよう求めたり促したりしてはならない、としています。Meta はプロモーションの運営を手伝わず、運営は主催者の責任です。
Instagram の プロモーションのガイドライン も、参加者による Instagram の免責と、Instagram が後援していないことの表示を求め、写っていない人をタグ付けさせるなど、不正確なタグ付けを促すことを禁じています。「友だちをタグ付けして応募」の企画を考えているときは、実施する前にこれらのページを読み直してください。
景品以外で気をつけること
応募者の個人情報
当選者には住所や氏名を聞くことになります。聞くのは当選者だけ、項目は景品を送るのに要るものだけにし、公開の返信で聞かずに DM や応募フォームで受けます。何に使い、いつ消すかを応募要項に書き、自社のプライバシーポリシーへのリンクを添えます。
見返りを渡して投稿してもらう場合
2023 年 10 月 1 日から、広告であるのに広告と分からない表示(いわゆるステルスマーケティング)が景品表示法の不当表示に加わりました。消費者庁の ステルスマーケティングに関する説明 によると、規制されるのは商品を売る事業者で、事業者が第三者に頼んだり指示したりした投稿も事業者の表示に含まれます。景品と引き換えに商品の感想を投稿してもらう企画は、この点も確かめてから設計します。
応募要項に書くこと
応募要項には、主催者、期間、応募の条件、当選人数と景品、当選の決め方、当選の知らせ方と返事の期限、複数アカウントでの応募の扱い、個人情報の扱い、SNS 側の免責を書きます。期間・人数・知らせ方は、あとから変えないことを前提に決めます。応募が始まってから条件を変えると、応募した人との約束が崩れます。
SNS TOWN でできること
SNS TOWN の キャンペーン は、𝕏 の投稿への返信で応募してもらう作りです。返信を必須にし、キーワード・フォロー・リポスト(引用を含む)を条件として足せます。𝕏 のガイドラインが勧める「主催者の投稿への返信で応募」の形がそのまま使え、いいねは条件にしません。
方式は 2 つあります。抽選は、締め切りのあと自動で当選者を決めます。応募はおひとり 1 回として扱い、全員が同じ確率です。インスタントウィンは、応募の期間中に当選者が順に決まっていく方式で、当選の知らせも期間中に送ります。どちらも条件に合った応募者の中から、システムが乱数で当選者を選びます。作って日の浅いアカウントやフォロワーの少ないアカウントを除く設定もあり、複数アカウントでの応募を減らせます。
当選人数は 1〜100 人、当選の知らせは返信か DM から選べます。当選者の発表を投稿で出せるのは、当選 5 人までのキャンペーンです。応募が始まったあとは設定を変えられず、止めることだけができるので、応募要項と食い違うことがありません。作り方は キャンペーンを作る と 当選者を決める にあります。使えるプランは 料金 で確かめてください。
7 日間、無料で試せます。クレジットカードの登録は要りません。
無料で始めるよくある質問
フォローとリポストだけで応募できる企画に、景品の上限はありますか
消費者庁の Q&A は、フォローといいねで応募でき、景品を郵送する企画について、ほかに取引につながる事情がなければ景品規制の対象にならないと答えています。ただし、商品の購入で当選しやすくなる、受け取りに来店が要る、などの条件を足すと、上限のかかる企画に変わります。
来店した人にもれなくプレゼントを渡す場合はどうなりますか
来店が条件なので取引に付随し、もれなく渡すので総付景品にあたります。取引の価額が 1,000 円未満なら 200 円まで、1,000 円以上なら取引の価額の 10 分の 2 までが上限です。
景品の総額の「売上予定総額」とは何ですか
その懸賞の対象になる取引について、懸賞を行う期間に見込む売上の合計です。一般懸賞では、景品の総額をその 2% 以内に収めます。期間を長く取れば見込む売上も増えますが、見込みは根拠を持って出せるものにします。
当選者を「フォロワーの多い人」から選んでもよいですか
𝕏 のガイドラインと景品表示法は、当選者の選び方そのものを細かく決めていませんが、応募要項に書いた決め方と違う選び方をすると、応募した人をだますことになります。抽選と書いたなら抽選で決めます。不正な応募を減らしたいときは、応募の条件として最初から書いておきます。
インスタントウィンにも景品表示法はかかりますか
かかり方は抽選と同じで、取引に付随するかどうかで決まります。その場で当落が分かる形であっても、一部の人に景品を渡す懸賞であることに変わりはありません。用語は インスタントウィン で説明しています。
法律の判断に自信がないときは、どこに聞けばよいですか
消費者庁と各都道府県の景品表示法の担当窓口が相談を受け付けています。応募要項の文言まで確かめたいときは、景品表示法に詳しい弁護士に見てもらうのが確実です。この記事は判断の手がかりであり、個別の企画の適否を保証するものではありません。
